「春彼岸法要」が勤められました。

3月19日(日)

春の彼岸法要が勤められ、大勢の皆様にお参りいただきました。仏前で手を合わせてお念仏申すご縁をいただくということは、私たちを導いてくださる諸仏として亡き人と出会う、新しい関係の始まりでありましょう。ご法話は京都から松井憲一先生(京都・道光舎主宰・道専寺前住職)にご出講いただきました。

〈法話聞書〉(文責・専行寺)
1月に前坊守さんがお亡くなりになり、本堂にご安置されているご遺骨を前に、今日の彼岸法要はいろいろな思いをもってお参りいただいた方も多かろうかと思います。お別れをご縁にして、手を合わせ南無阿弥陀仏と念仏申すことは、生きておられた時の人間同士の関係とは少し違う関係をいただくことができるのではないでしょうか。亡くなられてみて、初めて私たちは涙しながら「有難う」とも言えるし「ごめんなさい」とも言える。そういうご縁が結ばれるということはとても大事なことであります。「どこかから見ておってくださるな」という感情と感覚で、亡き人とまた対話ができていくということは新しい出会いの始まりだということができます。

司馬遼太郎さんが『街道をゆく』の中で、近江商人がよく使われる「させていただく」という言葉について書いておられました。この頃は「してあげる」が多いのと違いますか。「子供を育ててあげる」のではなくて、「子供を育てさせていただく」のでしょう。若い頃は勝手し放題していた人も、結婚してお父さん・お母さんになると、学校のお役を授かったり、地域の運動に参加したりと、見事にお父さん・お母さんらしくなるものです。そういうふうになったのは子供のおかげでしょ。子供の手前、あまり自分勝手なことはしておれんなといって、それなりに親になっていくものです。

名を呼ばれるということはそういうことなんです。私たちが南無阿弥陀仏という言葉を申すということは、南無阿弥陀仏に願われているような私になっていきたいということで、南無阿弥陀仏という言葉が届けられているのですね、私たちに。「お父さん」「お母さん」でも「おじいさん」「おばあさん」でもそうです。「くそばばあ」なんて言われたら、「今年のお年玉はなし」となりますが、「おばあちゃん」と言われたら、少しは年金を貯めておかなきゃというふうに変わっていくでしょ。名は私を育ててくださるのです。「社長さん」と言われたら社長らしくなっていく。子供を育てさせていただいて、私たちは親にならせていただくのですね。司馬遼太郎さんもこれは他力の思想をあらわしていると仰っています。「させていただく」そのもっと深いところに、「如来様のおかげで」「摂め取って捨てない摂取のはたらきのおかげで」ということがあるわけです。
※次回の定例法要は、5月21日(日)に勤められる永代経法要。ご法話は白山勝久先生(世田谷・西蓮寺)です。ぜひお参りください。

2017春彼岸3
2017春彼岸1
2017春彼岸法要52017春彼岸2
2017春彼岸4

 


3月・4月の行事案内

3月
◇「東日本大震災犠牲者追悼法会」主催 真宗大谷派東京4組 
3月9日(木)13時~16時
〈会場〉龍善寺(新宿区早稲田77)
〈講師〉小丸真司 先生(福島県・正西寺住職)
    中杉隆法 先生(兵庫県・西林寺)
 ※法要志はすべて被災地支援に供します。ご協力をお願い申し上げます。

◇春彼岸に向けての「仏具お磨き奉仕」
3月13日(月)10時~12時(作業終了後、昼食)
 ※作業しやすい服装でお出かけください。昼食は寺で用意します。
 ※ご奉仕の可能な時間だけのご参加でも結構です。ご協力をお願いします。

◇「輪読会」
3月14日(月)13時~14時30分(上記の奉仕作業日の午後。昼食後に開催)
 ※『サンガ』(東本願寺「真宗会館」首都圏広報誌)『同朋新聞』(東本願寺発行)などを輪読しています。

◇「春彼岸」
3月17日(金)~23日(木)
 ※墓参およびご門徒宅お内仏参勤

◇「春彼岸法要」
3月19日(日)11時~13時30分 
〈日程〉勤行・法話・お斎(食事)
〈法話〉松井憲一 先生(京都・道光舎 主宰 / 道専寺前住職)
 ※亡き人を偲びつつ「生きる」ことをともに尋ねてまいりましょう。
 ※簡単なお弁当を用意しています。墓参はぜひ法要に合わせてお出かけください。

◇「煉山の活き活き尺八教室」 
3月23日(木)10時~12時       
〈指導〉
工藤煉山さん(都山流尺八演奏家・コンテンポラリーユニット「SARUME」主宰)
詳細はこちら
工藤煉山さんホームページ LESSON をご確認ください

4月
◇お寺でカラダもリフレッシュ!「ピラティス教室」(申込制)
4月4日(火)13時30分
〈指導〉竹井景子トレーナー          
〈参加費〉一般 1500円 専行寺門徒 500円 (レッスンは約1時間)                                     ※ヨガと同じストレッチ効果とともに、体幹の筋肉を鍛え、脊柱や骨盤も整えていく「ピラティス」。普通に生活しているだけでは失われていく筋力を回復させてくれます。一人ひとりにあったトレーニングで指導してくださいます。
※お申込みは専行寺へどうぞ。

◇「仏教入門講座」
4月17日(月)13時~16時30分
〈法話〉「正信偈のこころ」海 法龍 先生(長願寺住職 / 首都圏広報誌『サンガ』編集委員)
〈参加費〉500円
※これから仏教を聞いていきたいという方にもわかりやすい入門講座。偶数月開催。

◇「真宗大谷派東京4組同朋会」(申込制)(詳細は当寺まで)
4月17日(月)13時30分~16時30分
〈会 場〉法雲寺(新宿区愛住町10-3)
〈テーマ〉「ともに歩み、ひとり歩む」
〈法 話〉近田聖二 先生(豊島区・顕真寺住職)
※申込制(詳細は専行寺までどうぞ)


2017年3月の言葉

ものが
縛るのではありません
ものをとらえる心に
縛られるのです

仲野 良俊